twitter小説 【6】



 

 

鉄臭い空気をおもいっきり吸い込む。血の味が口全体に広がり、ぬるぬるとした感触が気持ち悪い。手で拭えば、一筋の赤い線が走る。途端、こらえきれずに涙がこぼれた。 「ママ、はなぢぃ〜!!」だから鼻に指を突っ込むなとあれほど (#途中から育児の話になるポエム)

 

人は死ぬときではなく、人に忘れられた時に消えるのだという。自分が生きた証が跡形もなく消えるのは怖い「だからあなたは、謎を残したのですね?」男の言葉に色褪せた羊皮紙は笑う。 百年前に起きた完全犯罪。動機をつかんだ探偵はさみしがり屋の犯人を暴くべく、思考を巡らせる

 

私の愛はマボロシでした。胸の動悸は勘違いで、上気した頬は気の迷い。みんながみんな、ホントウではないのです。だからきっとこの涙もホントウではない、痛みも悲しみも嘘っぱちです。『だったらこの胸に空いた穴はなんなのよ!』 叫ぶ声はただ遠く、無音にむなしく響くだけ

 

ホテルの一室に紫煙が浮かぶ。シーツをまとう体は重く、汗でべたついた肌が気持ち悪い。カーテンのすきまから高く登った陽光と、近所の子どもがはしゃぐ声。私はただ貴方に愛されたかっただけなのに。夢見た甘い世界はほど遠く、私は彼に気づかれぬようシーツを引き寄せ涙を隠した。

 

「これは僕の歌ではありません」人気のない公園で、夜な夜なギターをかき鳴らす彼はつぶやいた「それでも歌わずにはいられないのです」暗がりの中で彼は笑みを浮かべた。枯れ果てた瞳の奥はいっぺんの光も見いだせない。明けぬ夜をさまよう彼に、朝陽の差し込む日はくるのだろうか

 

大好きなあの人がチョコを持っていた! 丁寧に包装されたそれは私のものよりはるかに綺麗で、内心へこみながらその場を去ろうとする。そこへ真っ赤な顔をした彼が話しかけてきた。「チョコ、食べない?」  最近は逆チョコなんてあるんだ。喜び反面、女子力の高い彼に、冷や汗をかく

 

銃口をまっすぐ標的へと向ける。涙の張り付いた頬がひきつった笑みを浮かべた。きっと自分も同じ顔だ。相手の銃身が月明かりに揺らめく。僕は息を吸うため、君は吐くために、互いの口を開いた 【ΧΧΧΧΧ】 たった五文字。その言葉が弾丸となって喉を貫き、僕らは絶命した

 

昭和の初め、秋の深き頃。木製の校舎に幼き児童たちの声が響きわたる。教室の端々からは賑やかな喧騒が漏れ聞こえ、特に男児などはきびきびとした口調で兵隊の真似事などして遊んでいた。これから訪れる争乱を露とも知らず幼き児童たちは枯れ葉の舞うような短い平穏の時を過ごした

 

朝起きたら小人が部屋を掃除していた。お礼にリンゴが欲しいというので、ひときわ甘くて大きなものを差し出す。すると小人は大喜びで家へともち帰っていった。しばらく小人の姿を見ていない。どうやら食べすぎで寝込んでしまったようだ。今度からは小さな姫リンゴをあげよう。

 

今日は夏のバーゲンセール。今年最後の夏を求めて、店の中は大にぎわい。母もまた、大量の夏を買い込んできた 。冷えたスイカにかき氷、はたまた扇風機まで!私の体はあっという間に冬模様。「さあ、最後の夏をたんとどうぞ!」お母様、どうして暑さを買い忘れちゃったの。




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2014,04,01